注目の日中間ビジネスのキーパソン《クンチ株式会社様》を取材しました。
2019年2月9日

TOHOKIが注目する日中間ビジネスのキーパソン取材。今回は、中国大手ECのTmallやJD.comのビジネスパートナーあり、日本企業のオンラインやオフラインでの中国販売戦略を手掛けるクンチ株式会社の前田社長を取材しました。


中国最大級のオンライン・オフラインの販売代理店

クンチグループは化粧品、パーソナルケア商品を中心とした中国に本社を構える卸売会社です。オンライン(ECサイト)・オフライン(リアル店舗)両面における中国随一の販売ネットワーク・インフラを持ち、一般貿易・越境ECともに対応ができる会社です。現在、従業員は1,500名を越え、60以上のブランド商品の中国展開を支援しています。オフラインでは7,000以上のリアル店舗に商品を導入することが可能です。特に中国大手ドラックストアチェーンのwatsons屈臣氏には、ほぼ全店舗に導入可能で3年連続でwatsons優秀代理商を受賞しています。オンラインに限らず中国にこれだけオフラインの流通先を持つ代理商は弊社だけと言っても過言ではありません。2011年からオンライン事業が急成長し、現在の売上は40億元を超える中国最大級の販売代理店に成長しています。

 

クリエイティブ力の高さもクンチの強み

当社には100名以上の優秀なデザイナーが存在していて、販売力に加えクリエイティブが他社と一線を画している強みと言えます。クンチのデザインはこれまでに様々なクリエイティブ部門で表彰され、清華大学の出版物はクンチのデザイナーが手掛けているほどです。デザイナーが集まるプラットフォームの中でもクンチのメンバーは常に上位にランクインしています。クリエイティブ力がお客様のブランド商品を支えています。

 
クライアントの現状

クンチグループの売上の多くは資生堂、ライオン、ヘンケル(Henkel)、コティ(Coty)の4つのブランドで構成されています。これらのクライアントはすでに中国に現地法人があり、一般貿易として現地で当社が商品を仕入れてオンラインやオフラインで販売しています。クンチ日本法人の主な事業は越境ECとなります。中国を代表する天猫国際(Tmall国際)と京東(JD国際)を始めとするECプラットフォームを活用して巨大な中国市場に商品を流通させています。クライアントとしてはLION、スカルプDで有名なアンファー、「女優肌」の愛称で知られるエクスボー、歯ブラシのキスユーなど、当社が窓口となり天猫国際や京東に旗艦店を出店し、越境ECに関わる全ての業務を担当しています。直近ではロフトの天猫国際旗艦店の運営も任せていただくことになりました。その他、テストマーケティング機能として天猫国際にクンチ独自の旗艦店も開いています。「桃子来了」という名前で様々な日本のブランド商品を取り揃えています。中国展開において、いきなりブランドの旗艦店を出すことは非常に難しいので、まず中国展開の入り口として、商品が売れるかどうかをお試しいただくのに適した店舗となっております。こちらでは中国でまだ販売許可が取れていない商品も取り扱うことが可能です。

 

クライアントの成功事例
クンチの強みはプロモーションとマーケティング、そしてクリエイティブにあります。単純に商品を仕入れて越境ECで販売しているわけではありません。一つの例をあげさせていただきますと、エクスボーテはもともと中国でそれほど認知度はありませんでしたが、私どもはKOLKey Opinion Leader)を活用した情報配信や、Bilibiliを始めとする動画配信など大掛かりなプロモーションに投資を行った結果、現在では年間1000万元の売上が出せるブランドにまで成長しました。中国で認知度のない商品でも当社のマーケティングとプロモーションそして良質なクリエイティブにより、売れるブランド、商品にしていくというのが当社の役割です。今後もたくさんの成功事例を作っていきたいと思います。

 

中国はこれから細分化市場に突入する

現在の中国の消費者ニーズとして、有名ブランドの商品かKOLや口コミで拡がったブランドの商品が消費者に購入されている感じですが、今後はますます消費者ニーズが細分化していくと思われます。これからは有名ブランドに限らず、個々人にあった商品、中国でまだまだ知れ渡っていないブランドの商品が求められるようになることでしょう。クンチがそのような細分化市場における消費者ニーズに対応するためには、認知度のない商品でも消費者に届けられるノウハウを持つことが求められることでしょう。

 

クンチの求める人物像
業務を行う上で日本のお客様が求めるきめ細やかなアフターフォローやレポーティングが求められます。お客様が求めることを自分の方から先回れるサービス精神豊富な方が向いています。また中国本社には各ブランドの専任者が複数名おりますので、そのメンバー達とのやり取りが頻繁に発生しますので、語学力やコミュニケーション能力も必要になってきます。クンチで働くことにより、世界でもっとも勢いのある中国EC市場の現在、そして変遷を間近で見ることができます。自然と中国市場での成功ノウハウが身につくことでしょう。また、日本法人は会社がまだ小さいので、会社や事業の全体像が把握できますし、新人でも思いきって意見が言えるフラットな組織です。このような環境で働きたいと考えている方に向いていると思います。

 

中国企業と日本企業の違い
これは中国企業でありながら日本にいて、日本のお客様の窓口をやっている我々が一番敏感に感じているところです。中国企業はスピードや効率性を求めます。例えば問題が起こった時は、一般的に日系企業は立ち止まってなぜ問題が起きたのか再発防止を考えて次の手立てを打ちますが、中国企業の場合はその問題が起こったまま、立ち止まらずに次の展開を考えて進めていきます。打ち合わせを重ねる場合も日本企業は、前回はこうだったという前提で進めていきますが、中国企業は現時点の最善策を考えて提案します。これは日本企業からしてみれば、「前回の打ち合わせはなんだったの?」ということにもなります。急な提案は不信感に繋がる場合もありますので、間にいる我々が理論づけをする必要があります。また日本で大事な納期や数字的な管理がときに中国側でアバウトに進められている場合もあります。放っておくと日本のお客様の信頼を失ってしまいかねないので、そのようなことが決して発生しないように細心の注意を払いながら、それでいて中国企業の良さも失われないように業務を進めていくことが大事です。中国の良さと日本の良さを織り交ぜて最高の状態にしていくのが現地法人である我々の役目と考えています。

 

新しいことへのチャレンジ
私は日本企業に長くいて、中国企業に転職した一人ですが、新しいことに手を挙げることは、いろんなことが動きだす良いチャンスになると思っています。新しい環境では会える人が全く変わってきます。ぜひ思いきってチャレンジしてみてください。

 

 

会社概要

社名  クンチ株式会社

代表者 前田 大介様

所在地 東京都中央区京橋2-7-14